3/11、EUで化粧品の動物実験を法的に禁止
EU(ヨーロッパ連合)では、この3月11日に、化粧品の動物実験が
原則禁止となりました。
ここに至るには、長い間、ヨーロッパの人々が動物実験の実態を知り、
その廃止を求めてきたという経緯があります。
欧米諸国では、1970年代に残酷な動物実験の実態が次第に人々に
知られるようになり、各国で大きな反対運動が盛り上がりました。
この写真はドレーズテストに使われたウサギです。
ドレーズテストとは、涙腺が発達していないウサギの眼に
化粧品などの原料を注入し、眼が炎症を起こす様子を時間ごとに
観察して、毒性を調べる眼粘膜刺激テストのことです。
動物に激しい苦痛を与えるとして批判を受け、廃止に至りました。
化粧品原料の毒性を調べるためには、このほかに10を越える各種動物実験が行われます。
EUでは過去30年以上、一貫して動物実験を削減、
廃止させるという方向を目指し、法律的、政策的に取組んでいます。
1986年に制定された実験動物保護のためのEU指令(指令は加盟国が
国内法を整備する義務のある法的拘束力をもつ)では、動物実験代替法
の促進を定めており、
化粧品の動物実験については、特に代替法の開発と有効性の評価の
ために多額の資金が投入されてきました。
代替法の遅れのために、動物実験禁止の決定は何度か延長されて
きたものの、以下のような工程で、事態は着実に進んできたという
ことができます。
2004年9月11日までに、化粧品の最終製品の動物実験の禁止
2009年3月11日までに、化粧品の原料および合成物の動物実験禁止
(ただし3種類の実験については2013年まで延期)
2013年3月11日までに、化粧品のすべての動物実験の禁止
これに対して、日本の現状はどうでしょうか。
残念ながら、日本は動物実験に対する法的規制のない唯一の「先進国」
です。
どのような会社が、どのような実験を行っているか、実態を把握する
方法もありません。
そのため、動物実験代替法を促進する動きにも乏しく、また研究開発
に投じられる予算もわずかです。
EU指令の詳細は、AVA-netの海外ニュースで紹介しています。
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