原発避難地域の飼育動物に関する要望
2011年3月11日の大震災・原発事故から1カ月が経ちましたが、原発の損壊事故
は一向に収まりを見せず、周辺地域での放射能汚染は続いたままです。
本日の報道発表では、政府はこれまでの避難指示地域を立入禁止とし、
さらに20キロ圏外でも汚染のひどい地域に避難指示を拡大するとのことです。
本日付で、避難地域に置き去りにされている飼育動物に関して、関係機関に
以下の要望をしています。皆さまも、各機関にお願いの声をお届けください。
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福島原発避難地域の飼育動物に関する要望(写真付き)
http://www.alive-net.net/companion-animal/saigai/youbou20110411.htm
2011年4月11日
内閣府政策統括・防災担当 御中
農林水産省地震災害対策本部 御中
環境省動物愛護管理室 御中
緊急災害時動物救援本部 御中
各国会議員 様
防災基本計画には、「災害時における動物の管理(衛生を含む)及び飼料の
需給計画に関する事項」が定められています。福島原発の周辺地域において
避難指示が出たときに、当初長引くことは予想されず、多くの方々が犬や猫等の
ペットや、牛をはじめとする畜産動物を残してきました。
避難が長引くにつれ、動物への給餌給水のために一時帰宅する方もいますが、
それができない場合はすでに犬が野犬化したり、家畜が餓死するなどが起こって
います。
近く避難命令が出される場合、これらの動物をどうするかがさらに大きな問題と
なります。
また、ペットを連れて避難できた方でも避難所等でペット同伴が困難となって
いる場合があります。いずれのケースにおいても早急な対策が必要ですので、
以下の要望に関して、関係機関におかれましては、ぜひ速やかに対処、指示等を
お願いいたします。
1.現地に放置されたペット問題
原発からの避難にあたって、ペットを残してきた場合には飼い主が長期間
帰宅することができないため、つながれたものは餓死し、放されたものは
わずかな餌を求めて放浪しています。餌にありつくことができず、痩せ細って
健康状態が非常に悪化している個体も多く見受けられています。
また、多くが不妊去勢をしていないため、今後繁殖して野良犬猫が増えていく
可能性が高く、公衆衛生上の問題も生じます。
<要望>
放浪犬をはじめとする放置ペットの保護
国の防災担当部署から避難地域の自治体に対して、飼い主が餌を与えに
現地に通っていた場合は、今後はペットを避難先に連れていくように、また、
どうしても連れていけない場合には、地元の動物行政あるいは動物救援本部
等に相談するよう、指示をお願いします。飼い主が不明で放浪している犬等につ
いては、警察、消防、自衛隊等が巡回する場合に、可能であれば給餌給水を
施すよう指示していただきたく存じます。
その場合に、有志の獣医師や動物保護団体等が同行し、自己責任で捕獲・
保護することを認めていただきたく存じます
(飼育動物は人の財産であるため、保護した地点、近隣の状況、個体情報の
公示を義務付けるという条件のもと)。
2.現地に放置された畜産動物問題
福島原発避難地域には、和牛生産農家をはじめ、多くの畜産農家が存在
しています。一部の牛等は、飼い主である農家の方々の手によって放され、
生きながらえていますが、つながれたり小屋に閉じ込められたりしている畜産
動物たちは、餌も水もなく衰弱死しつつあります。
<要望>
放置された畜産動物の実態把握と給水給餌
農林水産省では、県あるいは各市町村等に保管されている畜産農家の名簿
等から、牛・馬・豚・鶏などの飼養場所を割り出し、現在残されている畜産動物
がどのような状態にあるか、速やかに実態を把握していただくようお願いいた
します。
閉じこめられている動物のなかでも、鶏や牛については、まだ生存している個体
が確認されています(4月6日時点)。
生存個体については、給水給餌のために畜産農家あるいは獣医師や動物保護
団体等が立ち入りすることを認めていただきたく存じます。
また、速やかに家畜の預託先を紹介していただくようお願いいたします。
3.避難所におけるペット問題
避難所によっては、ペット同伴が認められないため、飼い主は車の中で
過ごしたり、ペット可の避難所を求めて転々としたりしています。また、公営
住宅に入所の際には、ペット同伴を禁止している自治体が多く、やむなく手放
すことを強いられたりしています。仮設住宅においても、ペット同伴が許されるか
どうか定かではありません。
<要望>
避難所でのペットの実態把握とサポート
避難所の数が多く各地に分散しているため、ペットの状況把握が困難です。
環境省では、避難先になっている都道府県及び市町村の担当者に対して、各地
の避難所で責任者が同伴ペットに関する聞き取り調査をするように求めていた
だきたく存じます。
被災動物が必要としているものが判明すれば、とりまとめをして緊急災害時
動物救援本部に物資の要請を行い、本部はこれを速やかに手配するよう
お願いいたします。
また、避難所及び仮設住宅等でのペット同伴を認めるよう各自治体に求めて
いただくようお願いいたします。
4.マンパワーの絶対的な不足
避難地域においては、震災の被災地とも重なっていたり、行政の担当者
自身も被災しているケースがあります。また、
人命優先の施策により、動物対策については遅れが生じています。
対策を講じるにあたって、マンパワーやネットワークが絶対的に不足しています。
<要望>
専従担当者の臨時雇用の必要性
このような対策には、動物の愛護および管理に詳しい専従の担当者を要します。
緊急災害時動物救援本部では、専従のスタッフを期限付きで雇用して、各県の
救援本部及び必要としている地域に派遣する必要があります。
その費用については、義援金をあてるべきです。物資はすでに相当集まって
いますので、今後は人材に資金を投入してください。
特定非営利活動法人地球生物会議ALIVE
財団法人神奈川県動物愛護協会
被災動物保護調査団
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