第11次鳥獣保護事業計画の基本指針の見直しに関する意見
鳥獣保護法に基づいて、5年ごとに見直しが行われる鳥獣保護事業の基本指針
改定のパブリックコメントが行われており、締め切りが6月10日です。
ALIVEでは、これに関して意見を出しています。
全文は、以下のサイトをご覧下さい。
http://www.alive-net.net/wildlife/domestic/law/2011kihonsisin_iken.htm
とても多岐に渡っていますが、以下の点については、ぜひ皆さまも意見をお送り
ください。
Ⅱ 鳥獣保護事業計画の作成に関する事項
第四 鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可に関する事項
(3)わなの使用に当たっての許可基準 ①獣類の捕獲 P77
【意見】トラバサミは、許可捕獲においても使用しないこととする。
【理由】わなによる錯誤捕獲を防止する等の目的のために、狩猟ではトラバサミの使用禁止、くくりわなの直径の大きさ等が定められた。しかし、許可捕獲ではこの規制がなく、インターネット通販などで誰でも自由に購入できる。それによって地域の猫などがトラバサミにかかる例が依然として続いており、違法行為を助長させている。トラバサミは、許可捕獲においても禁止とし、違法使用を根絶させるべきである。
※地球生物会議の調査では、47都道府県中34道府県が許可捕獲でのトラバサミの使用を認めている。しかし、小動物の有害捕獲の許可権限はほとんどが市町村に移譲されているため、都道府県がトラバサミの使用実態を把握できなくなっている。
(6) 捕獲実施に当たっての留意事項 ②ツキノワグマ P80
【意見】「ツキノワグマの生息地域であって錯誤捕獲のおそれがある場合は、原則としてくくりわなを使用しないようにすること。」「錯誤捕獲の頭数、日時、場所等に関する詳細なデータを集め、錯誤捕獲の防止をはかること」とする。「努める」程度では不十分。
【理由】錯誤捕獲が多発しており、その防止に「努める」程度ではなく、積極的に錯誤捕獲対策に取り組むべきである。すでにわなの規制緩和により里山に数多くのわなが設置されるようになったことにより、イノシシ用のくくりわなにクマがかかる事例が多発している。
(例)長野県でのツキノワグマの錯誤捕獲件数
平成20年 55件 平成21年 82件 平成22年 166件(10月末まで)
長野県では基本的に錯誤捕獲の場合は放獣しているが、他県では捕殺されることが多い。わなの種類、設置個所、個数等に関しての記録をとり、錯誤捕獲を避ける対応が必要である。都道府県に錯誤捕獲の統計を取ることをもとめ、環境省の鳥獣関係統計に錯誤捕獲と放鳥獣の有無の項目を設けるべきである。
(7) 捕獲物又は採取物の処理等 P80
【意見】「捕獲物等が鳥獣の保護管理に関する学術研究、環境教育等に利用できる場合は努めてこれを利用するよう指導するものとする」の学術利用については、「第四 2 学術研究を目的とする場合の、① 研究の目的及び内容が次の1から4」までのいずれにも該当するものである」ことを参照すること。
また、以下の事項を新規に加えること。
「クマ類については、その胆のうについては流通しないように管理すること。」
「錯誤捕獲により放獣または死亡した個体は、鳥獣の種類、頭数、日時、場所、捕獲方法等を記録し、報告すること」
「狩猟鳥獣以外においては捕獲された個体を生きたまま譲渡する場合には飼養登録等の手続が必要であること、加えてニホンザルの場合は動物愛護管理法に基づく特定動物の飼養許可が必要であること。」
【理由】捕獲物が商業利用、実験利用等の利益をもたらす場合に、目的を偽って違法捕獲することがしばしば起こっているため、その違法性を周知徹底させる必要がある。
また、錯誤捕獲における捕獲・死亡等の状況も報告させることにより、実態把握を行うべきである。
(8) 捕獲等又は採取等の情報の収集 P81
【意見】「鳥獣害対策特措法に基づく市町村計画で捕獲された鳥獣の頭数の正確な記録と速やかな報告を行うこと。」を加える。
【理由】鳥獣害対策特措法に基づく市町村の被害防止計画は、鳥獣保護事業計画との整合性が取れていなければならないが、市町村で特措法に基づいて捕獲された鳥獣の数が、都道府県に正確に報告されているかどうか不明である。捕獲数は鳥獣の生息実態の基本資料でもあり、正確な記録と報告が必要である。
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